裁判離婚とは

1. 裁判離婚について

離婚を考えている方にとって、どのような方法で離婚を進めるべきかは非常に重要な問題です。日本の法律では、離婚には主に3つの方法があります。協議離婚、調停離婚、そして裁判離婚です。

現行法では、裁判離婚は調停離婚が成立しない場合に初めて起こすことができるとされています(このことを調停前置主義といいます。)。

そして、離婚のうち大半が協議離婚によって成立していること、協議離婚が成立しない場合でも調停離婚により離婚が成立することも多々あることから、裁判離婚に至るケースは全体からするとごく少数です。

その意味では、裁判離婚に至らざるを得ないケースでは、当事者双方が離婚を巡る各種争点(離婚の当否、親権、面会、養育費、財産分与、慰謝料など)に関し、高葛藤な状況に陥っているといえます。

そのため、離婚裁判をいかに自分に有利にストレスを少なく解決するかは当事者の方にとって非常に重要な問題です。

そこで以下では、そのような裁判離婚について詳しく解説いたします。

2. 裁判離婚とは?

裁判離婚とは、夫婦間での協議や調停がうまくいかず、最終的に裁判所の判決によって離婚が成立する方法です。

裁判離婚は、他の離婚方法と比べて時間と費用がかかることが多いですが、法的に確定した離婚を得ることができます。

すなわち、法律上の離婚原因を前提に、離婚を巡る諸々の争点について裁判官が明確な結論を出してくれるという大きな特徴があります。

3. 裁判離婚の根拠条文

裁判離婚の根拠条文は、民法第770条に規定されています。この条文では、以下の5つの事由が裁判離婚の理由として認められています。離婚裁判では、これらの離婚原因が認められるかどうかがまずもって最初の争点となります。

ただし、離婚の諸条件では求めているが、離婚そのものにはお互いで合意ができているケースであれば、この離婚原因について細かい審理は行わないこともあります。

  1. 配偶者に不貞行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

4. 裁判離婚の手続き

裁判離婚の手続きは以下のように進行します。

1,訴状の提出離婚を求める側が家庭裁判所に訴状を提出します。この訴状には、離婚を求める理由や証拠を記載します。
2,答弁書の提出訴状を受け取った配偶者は、一定期間内に答弁書を提出します。この答弁書には、訴状に対する反論や自分の主張を記載します。
3,証拠の提出双方が証拠を提出し、裁判所がそれを検討します。証拠には、文書、写真、証人の証言などが含まれます。
4,口頭弁論裁判所での口頭弁論が行われます。ここでは、双方の主張や証拠が審理されます。
5,判決裁判所が判決を下します。判決に不服がある場合は、上訴することができます。
6,和解双方の主張を踏まえ、裁判所の介入の下で離婚の条件を交渉し、和解により離婚を成立する余地もあります。

5. 裁判離婚のメリットとデメリット

裁判離婚には以下のようなメリットとデメリットがあります:

メリット

  • 法的に確定した離婚を得ることができる。
  • 配偶者が離婚に同意しない場合でも、裁判所の判決によって離婚が成立する。
  • 財産分与や養育費、慰謝料などの問題も同時に解決できる。

デメリット

  • 時間と費用がかかる。離婚裁判の解決までには1年~2年程度要することが通常です。
  • 公開の場での審理となるため、プライバシーが保たれにくい。
  • 紛争が長期化し、お互いの激しい主張立証のために精神的な負担が大きい。

6. 裁判離婚における弁護士の役割

裁判離婚を進める際には、弁護士のサポートが非常に重要です。弁護士は以下のような役割を果たします:

1,相談とアドバイス離婚に関する相談を受け、適切なアドバイスを提供します。
2,書類の作成訴状や答弁書、証拠書類の作成をサポートします。
3,裁判所での手続裁判所での口頭弁論や証人尋問などで依頼者のために出頭し、依頼者の権利を主張する役目を務めます。
4,交渉離婚裁判の途中でも、可能性があれば相手方との交渉を行い、和解の可能性を探ります。

7. 裁判離婚の費用

裁判離婚には以下のような費用がかかります:

1,裁判所の手数料訴状の提出時に裁判所に支払う手数料です。
2,弁護士費用弁護士に依頼する場合の費用です。弁護士費用は事務所や案件の複雑さによって異なりますが、一般的には着手金と成功報酬が必要になります。
3,その他の費用証拠の収集や証人の出廷にかかる費用などです。

8. 裁判離婚後の手続き

裁判離婚が成立した後には、以下の手続きを行う必要があります。

1,離婚届の提出判決が確定した後、離婚届を市区町村役場に提出します。
2,戸籍の変更離婚に伴い、戸籍の変更手続きを行います。
3,財産分与や養育費の支払い判決に基づき、財産分与や養育費の支払いを行います。

9. 裁判離婚の注意点

裁判離婚を進める際には、以下の点に注意が必要です。

1,証拠の収集離婚事由を証明するための証拠を十分に収集しておくことが重要です。
2,弁護士の選定信頼できる弁護士を選び、適切なサポートを受けることが大切です。
3,精神的な準備裁判離婚は精神的な負担が大きいため、心の準備をしておくことが必要です。

まとめ

裁判離婚は、協議や調停がうまくいかない場合の最終手段として重要な役割を果たします。法的に確定した離婚を得るためには、裁判所の判決が必要です。裁判離婚を進める際には、弁護士のサポートを受けながら、十分な証拠を収集し、適切な手続きを踏むことが重要です。離婚を考えている方は、まずは専門の弁護士に相談し、自分にとって最適な離婚方法を選択することをお勧めします。

以上が、裁判離婚についての解説です。ご不明な点やご相談がございましたら、弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所までお気軽にお問い合わせください。