離婚に向けて別居を考えている方は多いのではないでしょうか。
相手方によるDVや不貞行為がない場合であっても、離婚をしたいとまで考えるに至っている状況では、相手方との共同生活を続けていくのが困難だと考えることはよくあります。
別居は、強制的に相手方との生活上の関りを断つことができるため、離婚の第一歩となります。
そのため、離婚と別居は常にセットで考える必要があります。そして、別居のタイミングについては慎重な判断が求められます。
本稿では別居のタイミングや別居の事実がどう影響するかを説明します。
1 別居のタイミング
具体的な別居のタイミングとは
①別居先をきちんと確保すること
②別居後の生活の基盤(とりわけ収入)を確保すること
が大切です。
これらが揃っているのであれば、別居のタイミングはいつでも構わないと言えますし、逆に言うとこれらが揃ったタイミングで別居をするのがベストだと言えます。
相手方に婚姻費用(別居後の生活費)を請求できるケースであれば、これも収入として考慮することが可能です(ただし、相手方がすぐに支払いに応じないケースもあるので注意は必要です。)。
また、実家や友人のところで生活することも選択肢の一つでしょう。事情によっては、シェルターで生活支援を受けられる場合もあります。
反対に、別居ができないがためにいつまでも離婚の問題が進まないというケースも少なくありません。
そのため、離婚に際して別居のタイミングはしっかりと離婚を進めるためにとても重要だと言えます。
2 相手方からDVやモラハラを受けている場合について
相手方からDVやモラハラを受けている場合には、被害の拡大を避けることを優先的に考えるべきです。公共機関への連絡や早期の別居を検討することを強くお勧めします。
DVやモラハラの可能性があるケースでは、離婚意思を相手方に直接伝えると、逆上して暴力を振るわれる、また暴言等であなたを傷つける発言をされる可能性があるからです。
無理に話し合おうとしても、暴力等によってあなたを支配しようと考えている相手方との間では、離婚に向けて対等に話し合うことは困難です。
そのため、弁護士を通じて対等な立場から離婚意思や主張を伝えることも有効な手段となります。
なお、深刻な事案では保護命令の検討、すなわち、別居場所や職場に来られないように対策するなど、弁護士に相談すべきケースも多くあります。
3 別居期間が離婚へどう影響するのか
長期間の別居が影響し、離婚に至る可能性があることは事実です。
離婚裁判において、長期間の別居及び別居解消の見込みがないことをもって、裁判所は婚姻を継続し難い重大な事由があると判断する可能性があるからです。
その際、どのくらいの期間の別居であれば離婚が可能かは婚姻期間に照らして判断される傾向にあり、婚姻期間が長ければ長いほど、離婚が認められるための別居期間も長期であることを求める傾向にあります。
他方で、婚姻期間が短ければ短期間の別居でも離婚を認めることになりやすいといえます。
とはいえ、婚姻期間が長期間(たとえば20年)だからといって、別居期間が10年ほどないと離婚を認めないということもなく、3分の1の7年前後あれば十分でしょうし、実際はより短く3年から5年程度でも別居解消の余地がまったくないようであれば離婚を認めるものと思われます。
また、婚姻期間が3年程度の事案であれば、1年程度の別居をもって離婚を認めることも十分にあり得ると思います。
よくある質問として、

3年たてば当然に離婚できる?
というものがありますが、あくまで婚姻期間に照らして、どの程度の別居であれば裁判所が離婚を認めるかという問題なので、3年たったら当然に離婚になるということはありません。
また、ここでいう別居というのは、離婚を念頭に置いた別居を意味するので、単に単身赴任で別居しているだけであったり、生活の本拠を別に設けているが日ごろの連絡や交流はあるような場合であったりすると、離婚のための別居期間にはカウントされません。
3 弁護士への相談のメリット
弁護士からの相談時に、別居に関するタイミングや別居後の生活の助言を受けることが可能となります。
なかなか別居に踏み切れない場合であっても、適切なタイミングや別居の際に持ち出してもよい物かどうかの助言も受けられます。
別居時から離婚案件の経験が豊富な弁護士が間に入り、あなたに代わり相手方との離婚協議等の交渉を行っていくことで、経験や知識を活かし、より早期に解決できるでしょう。