昨今、離婚を考える当時者から、どうして離婚をしたいのかの理由として「モラハラ」が挙げられるケースが非常に増えました。
夫婦婚姻生活はお互いの信頼関係を基礎に、経済的な結びつきを維持し、継続的に関係が構築されます。
ところが、夫婦の一方からのモラハラは、この「信頼関係」を破壊する行為です。
モラハラを受けた当事者は、このようなモラハラ被害を受けつつも、「原因は自分にあるのでは?」と自らを責めたり、「きっと話し合えば改善するはず」と相手方が改善することを期待したりすることもあります。
そのため、モラハラの自覚が乏しかったり、周囲に打ち明けたり相談したりすることが遅れがちです。
加えて、モラハラをする当事者は、周りの人にはいい顔をすることが通常であることも相まって余計にモラハラが表面化しにくいという実態があります。
それでも最近はモラハラが話題になることも増え、男女平等の意識も高まったことから冒頭のようにモラハラを理由とした離婚相談が増えてきているという状況です。
しかも、従前と異なり、最近では男性側からモラハラ被害を訴えて離婚相談に来られるケースが増えています。
男性は女性以上にモラハラ被害を周囲に打ち明けにくく、そのためこれまではモラハラはもっぱら女性が訴えるケースが多かったところ、その前提が変わりつつあるということです。
そこで、以下、この記事ではモラハラ妻の言動に悩み、離婚も視野に考えている夫の目線で役に立つモラハラ妻の特徴などをまとめてみました。
「自分の妻がしていることはモラハラでは?」
「妻の言動が辛い、、、モラハラ?普通?」
このように、モラハラ妻の言動にお悩みの方はぜひご一読ください。
1 モラハラ妻の特徴とは?
⑴ モラハラ妻に共通する特徴や行動パターン
冒頭で述べたとおり、モラハラは夫だけでなく妻による場合も少なくありません。
とはいえ、夫によるモラハラと妻によるモラハラではその具体的な中身は大きく異なります。
そこで、以下では妻によるモラハラに該当する典型的な特徴や行動パターン(モラハラチェックリスト)を挙げておきます。これらの項目に一つでも当てはまる場合にはモラハラを強く疑って構いません。
特徴としては、
①個人の行動を支配する
②経済的に支配する
③精神的に支配する
という3点にあります。
①個人の行動を支配する
☑ 仕事や職場、友人との付き合いを制限する
☑ スマホをチェックする
☑ 出かけようとすると行き先などを細かく聞き、問い詰める
☑ 外出中にしつこく連絡をしてくる
☑ 親や友人の悪口をいい、孤立させようとする
呉弁護士の一言コメント

このパターンの場合には、妻は夫が外で自由に行動することを拘束し、制限をします。そうすることで夫の人間関係を破壊し、妻の言いなりにしようとするのです。
当然、②の経済的に支配するパターンとも組み合わさり、お金を自由にさせないことで結果的に行動を制限することにつなげたりもします。
②経済的に支配する
☑ 給料を全て管理したがり、お金の使い道にうるさい(無駄使いを許さない)
☑ 個人の財布を管理する
☑ 自分からは生活費を支払わない
呉弁護士の一言コメント

このパターンの場合には、夫の収入自体に不平不満を言うこともあります。「あなたの収入が少ないから私が何とかやりくりしている。文句言わないで。」などというのが典型例です。
夫からすると、自分で稼いだお金をある程度、自分の判断で管理したり使ったりしたいと思うのは当然のことです。しかし、モラハラ妻はこれを許さず、夫の経済的な自尊心を傷つけるのです。
③精神的に支配する
☑ ちょっとしたことで機嫌が悪くなる
☑ すぐに大声を出す
☑ マイルールの強要や理不尽な要求が激しい
☑ 細かいことに対して執拗に指摘してくる
☑ 話合いを拒否する
☑ 頻繁に話し合いを求めるが、結局自分の考えが常に正しいと認めさせるだけの場になる。
☑ 長期間の無視をする
☑ 「無能」「頭が悪い」など罵倒したり、頻繁に皮肉をいったり、侮辱する。
☑ 感謝をしてくれない
呉弁護士の一言コメント

このパターンは、とにかく単純に自分の不平や不満、ストレスを夫にぶつけるものです。
自分の欲求通りにいかないことに対して我慢が効かず、うまくいかない理由や原因をひたすら夫のせいにし、見下したような発言を繰り返して当たり前のように責め立て、現実から逃れようとするのです。
人によっては性的な非難をしてくることもあり、そこまでいくと男性としてはもはや自尊心を維持することはかなりの困難となります。
⑵ モラハラ妻の言動が及ぼす影響について
上記のような妻のモラハラ行動は、夫や子、親族関係に大きな影響を及ぼします。
夫に及ぼす影響
まず、夫自身は妻との接点を持つことに恐怖心、不安感を覚えるようになります。
何をしても、何を言っても不機嫌な態度で、意見を一切受け入れず、否定されたり、管理されたり、制限をされたりすることから徐々に活動意欲を失います。
次第に心身ともに疲弊し、「もう一緒に生活を続けるのは無理だ」と感じるようになります。
場合によっては精神の不調をきたし、適応障害、不安障害、抑うつ状態、うつ病などの疾病等の原因となります。
子どもに及ぼす影響
子どもに対しては非常に複雑で重大な問題が生じます。
まず、物心もつかない乳児の場合には、妻が夫に当たり散らすなどしていることが雰囲気で伝わり、情緒の安定に悪い影響を与えます。
次に、幼児になるとある程度、夫婦間の雰囲気を察すること、理解することができるようになるため、いわゆる「空気を読む」行動をとるようになったりします。
当然、まだ幼い子どもがそのような行動をとることが自然とは言えませんし、ストレスを与えていることも明らかです。
このような子どもが幼い時点こそ、妻のモラハラの影響は子どもにストレートに悪影響を及ぼします。
とはいえ、小学生以上になればまったく影響がないということではなく、やはりモラハラ妻の言動は子どもに少なくない悪影響を及ぼすことに注意が必要です。
そのほかにも、モラハラ妻は子供を利用した攻撃をしてくる場合もあります。
母親としての立場を利用し、子どもを自分の味方にした上で「子供は私の味方」「あなたみたいな父親はいらない」と言うなどすることで父親を心理的に追い詰め、嫌がらせをするケースです。
幼い子どもほど、母親の影響を受けやすいこともあり、こうした行為は、子供の人格の形成にも悪影響を与える重大な問題です。
親族関係に及ぼす影響
モラハラ妻は、自分の味方と夫の味方を明確に分別します。
当然、夫の親族は夫の味方であり、夫に対するのと同様の態度をとります。
その結果、モラハラ妻の多くは夫の両親やきょうだいと仲が悪くなりがちです。
そしてそのことを自分のせいではなく、親族のせいにし、そのような親族と接すること自体を夫に禁じたりすることが多々あります。
それでも親族はあくまで夫の味方でいてくれますが、モラハラ妻の言動が親族関係に悪い影響を及ぼすこともまた明らかです。
2 モラハラ妻になる原因
以上のように、モラハラ妻は非常にやっかいな存在です。
では、どうしてこのようなモラハラ妻が生じるのか、その要因について分析、解説してみたいと思います。
心理的要因
モラハラ妻の要因の第1は、妻自身の性格にあります。
これはすなわち、
「我慢が効かない」
「わがまま」
「気が強い」
「神経質」
「融通が利かない」
などという妻の性格に起因するということです。
このような妻の心因的要因は、モラハラに繋がり、増長させることとなります。
このような性格を持ち合わせた妻が、これと逆の性格の男性を見れば当然のように自分が納得できない事柄などを非難する行動に出てしまいがちです。
しかも、気が強いなどの側面があることから、自分のしていることを客観的に見つめ直すことも苦手です。
また、気の弱い、人の優しい夫はこのような妻の行動を大目に見てしまいがちなことからなおさらです。
これらは当然、妻のそれまでの生活環境がモラハラを誘発し、増長させることがあります。
すなわち、妻の幼少期からの生活環境において親や親族からもてはやされ、ちやほやされた結果、自分の欲求や要望が何でも通るという経験がモラハラに繋がるということです。
環境要因
次に、妻の置かれている環境ないし状況がモラハラを誘発することも多々あります。
すなわち、妻が日々の生活に疲れ、余裕をなくし、ストレスを抱えているような場合には夫に対してモラハラをすることが増えるのです。
そして、このような環境要因がある場合には妻から夫に対するモラハラとして、経済的な支配や、非難などといった行動に出ることが多くなります。
この環境要因をより具体的に挙げると以下のとおりとなります。
①経済的な余裕がない
→経済的に余裕がないことが引き金となって夫へのモラハラに繋がることがあります。この場合には、「収入が低いこと」を非難したり、家計を一方的に管理したりといった行動に繋がりやすいです。
②出産や子育ての負担、イライラやストレスが溜まっている
→家事育児の負担が大きいことを夫にぶつけ、不満を口にしたりします。夫としてできることを尽くしていても、十分でないなどと責めることが通常です。
そのため、夫婦喧嘩が絶えず、かつ夫を責め挙げるという特徴があります。
③夫の家族とうまくいかない
→とりわけ夫の両親との不和が多く、ケースによっては夫のきょうだいとの関係でうまくいかないことがあります。夫の実家でも母や妹との関係がうまくいかず、夫のことを「マザコン」や「シスコン」などと非難することに繋がることが多いです。
このような環境要因を抱えている場合には、妻から夫へのモラハラに繋がりやすくなります。
また、専業主婦のケースでは「私は家のことを全部やっている」とプライドが高く、夫の意見を一切聞かない傾向もあります。逆に、共働き家庭では「私のほうが忙しいのに、あなたは何もしてくれない」と攻撃する形でモラハラが行われることもあります。
過去にモラハラを受けた経験がある
上記の心因的要因や環境要因とは大きく異なり、妻自身の過去の経験がモラハラを誘引することがあります。
すなわち、妻自身が親や周囲の人間からモラハラを受けた結果、これがいつの間にか自分にとって「当然のこと」となり、婚姻後に今度は自分が加害者となっていくのです。
これは幼児虐待の被害を受けた幼児が、自分が親になった際に今度は(望んでいないはずなのに)自らが我が子に虐待をしてしまうという「虐待の連鎖」と似た問題です。
したがって、妻がモラハラをする背景を探る際には、妻が両親からモラハラを受けたことがないかを確認してみると良いかと思います。
3 モラハラ妻の治し方は?
⑴ 治療方法とその効果
モラハラ妻の言動は、本人の性格的傾向や過去の経験、環境要因などが複雑に絡み合って形成されているため、すぐに「治す」というのは容易ではありません。
また、医師による診断が出るものでもないため、治療という考えに容易に馴染まない側面があります。
とはいえ、モラハラ行為の背景にある心理的要素を理解し、段階的に対応を進めていくことで改善が見られるケースもあります。
モラハラ妻の治療的アプローチとして有効とされるのは、心理カウンセリングや認知行動療法(CBT)です。
これは、妻自身が「自分の言動が相手を傷つけている」という事実を認識し、思考や感情の歪みを修正していく方法です。
心理的な背景に「自己肯定感の低さ」や「過度な支配欲」がある場合、専門的な治療を通じて徐々に改善が見られます。
また、モラハラが「夫婦間の力関係の歪み」から生じている場合には、夫婦カウンセリング(夫婦セラピー)が有効です。
第三者である専門家が間に入り、双方の言い分を整理しながら、冷静なコミュニケーションの取り方を学ぶことができます。
ただし、モラハラの程度や期間が長期に及び、妻が自らの言動を一切認めない場合や反省の様子がない場合には、治療の効果は限定的です。
このような場合には、無理に関係修復を目指すよりも、一定の距離を置き、被害の拡大を防ぐことを優先すべきです。
モラハラの治療には時間がかかり、途中で妻が「自分は悪くない」と反発することも珍しくありません。
したがって、改善を目指す場合は、本人だけでなく夫側も正しい知識を得て、冷静に関わる姿勢を持つことが重要です。
⑵ 専門機関の利用について
モラハラ妻の問題を家庭内だけで抱え込むと、被害者である夫の精神的負担が限界を超える恐れがあります。
そのため、専門機関や公的相談窓口の利用を検討することが大切です。
まず、地域の男女共同参画センターや配偶者暴力相談支援センターでは、モラハラを含む精神的暴力の相談を受け付けています。
岡山県や香川県でも、モラハラ・DV・家庭内トラブルに関する専門窓口が設けられており、匿名での無料相談や、カウンセラーとの面談が可能です。
また、必要に応じて臨床心理士や精神科医への相談も有効です。特に、妻が情緒不安定や極端な感情の起伏を示す場合、背景にうつ病やパーソナリティ障害などの心理的要因が隠れていることもあります。こうした場合には、医療的アプローチを併用することで改善の可能性が高まります。
さらに、モラハラがエスカレートし、暴言・暴力・経済的支配などに発展している場合には、弁護士への早期相談が不可欠です。
法的に取るべき手段(別居、保護命令、婚姻費用の請求、離婚調停などもしくはモラハラを証明するための証拠収集のことなど)を整理し、冷静に行動を進めることができます。
当事務所でも、モラハラやDV被害に関する初回相談を受付けており、弁護士が法的・心理的両面からサポートを行っています。
相談の際には、モラハラ行為の記録(LINE、メール、音声など)を持参するとより具体的な助言が可能です。
このように、モラハラの改善や対処を進めるには、「家庭内で我慢して解決を待つ」のではなく、第三者の支援を受けながら現実的な選択肢を取ることが極めて重要です。
4 モラハラ妻への対処法
以上のようなモラハラ妻の言動や要因を踏まえ、夫自身がこれに耐えきれないと判断した場合には適切な対処が必要です。
しかし、モラハラで疲れ切った夫はその正しい対処がわからないことも少なくありません。
しかも、モラハラ妻は自分の気に入らない夫の言動に非常に敏感です。
そのため、妻への対処を考えた際には事前にしっかりとした方針を決めておくことが大切です。
そこで、モラハラ妻によりよく対処するための方法を以下、ご紹介します。
⑴ 話し合いをする
モラハラ妻の特徴にもよりますが、一度、しっかりとお互いで話し合いをすることが効果的な場合もあります。
そもそもモラハラは夫婦間の問題であることから、可能な限りは夫婦間の話し合いによる解決、解消が望ましい問題です。
その意味でも話し合いは重要です。
特に、モラハラ妻の要因が上記の「環境要因」にある場合であれば、夫の側から妻に対して、妻の置かれた状況や悩み、ストレスをしっかりと聞き取り受け止めることでモラハラ行為が改善する可能性があります。
当然、聞き取った内容に対しては可能な限りの改善を図るようにしてください。
他方で、モラハラ妻の要因が妻の「心因的要因」にある場合には、この話し合いによる解決は必ずしも容易ではありません。
というのも、人の性格を変えることは容易でなく、モラハラ妻の性格であればなおさらだからです。
むしろ、モラハラ妻に対してその性格上の問題を指摘することは逆上の危険性があります。
したがって、話し合いによる解決を目指す際には慎重な事前の分析が必要です。
当然、話し合いの持って行き方についても同様です。
⑵ 別居をする
話し合いを試みたがうまくいかない、もしくはもはやこれまでのモラハラ被害を受け、そもそも話し合いをする気力が持てないなどの場合には妻との別居をするのも一つです。
別居自体は妻のモラハラを直すことや、夫婦関係を直接改善することには繋がりませんが、少なくともこれ以上、モラハラによる被害を受けることは避けられます。
また、モラハラ妻との離婚をするためには別居が有効な手段ともなります。
別居の際にはできれば別居先を秘匿し、連絡を絶てるようにすることをお勧めします。
そうすることで精神の平穏を取り戻すことが可能となります。
他方で、別居をきっかけに妻から婚姻費用の請求がされることはあるので別居後の生計をどうするかは事前に見通しを立てておくべきです。
⑶ 専門家に相談をする
以上のような自分自身での対処とは異なり、自分自身の置かれた状況を専門家や専門機関に相談することも有効です。
このように、モラハラ被害の相談先には特徴や役割に応じて様々なものがあります。
こうした相談先に加え、やはり最後は弁護士へ相談し、協力を得ながら進めることが有効です。
モラハラは治る場合もありますが、そうでない場合も少なくありません。
その場合、生涯に渡りモラハラ被害を受け続けるか、このタイミングで離婚をするかの選択が必要となります。
そして、モラハラを理由とした離婚には様々な困難が伴います。解決まで長期間を要し、複数の法的手続きを経ることもあり、また複数の法的な問題(そもそも離婚できるのか、親権をどうするのか、面会、養育費、財産分与や慰謝料をどうするのかなど)を解決する必要もあります。
そのため、モラハラによる離婚に詳しい弁護士にこのことを相談し、必要に応じて依頼をすることも非常に有効です。
5 モラハラ妻との離婚に関する注意点
モラハラ妻の特徴を把握し、その原因を踏まえて改善の余地がないかを検討したものの、どうにも改善の余地がないなどの理由からいよいよ離婚を考えた際には、モラハラ妻との離婚に際して以下の注意点をよく把握しておく必要があります。
⑴ モラハラ妻は離婚原因になるのかの見極め
そもそも妻によるモラハラが離婚原因になるのかをしっかりと把握しておくことがとても重要です。
というのも、モラハラ妻は、自分自身がモラハラをしているとの認識を持っておらず、ましてや自分が避難される立場にあるとか、離婚の原因であるとも思っていません。
そのため、協議離婚や調停離婚を申し立てても離婚を否定してくることが多々あります。
そのため、しっかりと法的に成り立つ離婚原因を検討しておかないと離婚自体を争われて、離婚自体ができないということがあり得ます。
当事務所の取り扱い事例でも、モラハラ妻は離婚自体を争ってくる傾向が非常に強いです。
そのため、離婚訴訟に突入することも多く、判決で裁判所にモラハラなりの離婚原因を認めてもらって初めて離婚を勝ち取れるのです。
そして、モラハラはその内容や程度によっては離婚原因となりますが、その判断は非常に難しいのが実情です。
そのため、モラハラが離婚原因になるかは必ず弁護士にご相談の上、確認をしておいてください。
⑵ モラハラ妻と離婚するために必要な証拠について
モラハラ妻との離婚に際しては、妻側が徹底して事実関係を争ってくることを予想した対応が必要です。
そのような態度自体がモラハラ妻の特徴であり、夫からの離婚の要求に対してすんなりと応じるモラハラ妻はほぼいません。
そうするとやはり裁判所での判断を見据えた証拠の存在が非常に重要になります。
証拠としては
録音、録画
LINEなどの内容
写真
診断書
日記
などが考えられます。
発言を録音した音声、LINEのメッセージ、日々のやり取りをメモに残すなど、記録を集めることが大切です。
⑶ モラハラ以外の離婚原因の重要性について
以上のように、モラハラ妻は離婚の要求に対して徹底して争い、その中でさえもモラハラ言動を続けます。
当事務所の取り扱い事例でも、協議離婚や調停離婚、離婚訴訟の中で妻から激しい内容の主張書面を繰り返し突き付けられるということが経験されています。
モラハラ被害の夫はこのように離婚の手続きの中でもモラハラ被害にさらされ続けるのです。
そして、上記のとおり、モラハラ自体を離婚原因として裁判所に認めてもらうことは容易でないこともあり、やはりモラハラ以外の離婚原因を用意しておくことが非常に重要となります。
具体的には
長期間の別居
妻の不倫
妻による暴力
などが考えられます。
⑷ 求める離婚条件の精査の重要性について
以上の観点は、そもそもモラハラ妻と「離婚ができるか」というものです。
そのことに加え、いざ離婚ができるとなった場合の具体的な条件についても考えておく必要があります。
当然、仮に離婚をせざるを得ないとなってもモラハラ妻は条件面で様々な要求を突き付けてくるので注意が必要です。
そうした中で考えておくべき離婚条件は以下のとおりです。
①親権を主張するか否か
②面会の条件はどうするか
③養育費として妥当な金額はいくらか
④財産分与として何をどのように分けるか
⑤慰謝料を求めるか
これらのうち、⑤慰謝料については非常に難しい問題です。
というのも、これまでも説明してきたように、モラハラの立証は難しくなおかつこれが慰謝料事由となるにはさらに高いハードルがあるからです。
したがって、モラハラ妻との離婚を決意した際には、とにかく離婚を実現するという第一目標を念頭に、その他の条件については何をどの程度優先ないし重視するかの見極めや割り切りも大切になってきます。
このように、離婚条件の判断は非常に難しいことからモラハラ離婚に詳しい弁護士の相談をお勧めします。
6 調停・裁判の流れ
モラハラを理由とする離婚を進める場合、まずは協議離婚を試みることが多いかと思います。
しかし、妻のモラハラが激しいケースであればあるほど、協議での解決は難しいことが多いです。
そのため、協議が難しければ次に家庭裁判所での調停が行われます。
家庭裁判所では、調停委員を介して話し合いが行われ、調停が成立すれば離婚が認められます。
しかし、モラハラ妻が感情的になり話し合いが進まないことも多いため、調停では「冷静に事実を伝える」姿勢が大切です。
そして、調停でも解決できない場合は、離婚訴訟に発展します。裁判では証拠の提出と証言が重要となるため、弁護士の協力を得ながら進めるのが最適です。
調停・裁判の流れを理解し、必要な資料や証拠を整理しておくことで、婚姻関係の破綻として法的に有利な立場を確保できます。
なお、モラハラが原因で離婚が成立した場合、慰謝料の相場は50万円〜300万円程度が一般的です。
ただし、事件の内容や継続期間、被害の程度によって金額は異なります。
また、長年モラハラに苦しんだ末の熟年離婚では、年金分割や財産分与、生活費の確保が特に重要になります。
「今後の生活が不安」と感じる方は、弁護士に早めに相談し、心身への負担を少しでも減らして適切な準備を進めることをおすすめします。
7 モラハラ妻との離婚事例
当事務所は、モラハラを巡る様々な離婚案件を解決に導いてきました。
たとえば以下のような事例があるのでご紹介いたします。
- 事例
- 概要と背景
- 解決までのプロセス
この事例は、夫(40代 男性)が、約20年の婚姻生活を経てモラハラ妻との離婚を決意し、弁護士の介入によって調停離婚が成立したケースです。
相談者・離婚請求者: 40代の男性(夫)。
婚姻期間: 約20年。
離婚原因: モラハラ。
モラハラの具体的な内容: 妻が携帯電話の内容に執拗に執着する。出張の際のお金の使い方に妻が執着する。その他、日常生活におけるありとあらゆる事柄に妻が執拗に執着し、夫が疲弊した。
経緯: 夫は別居後、離婚を決意した。
当初の試みと困難: 夫本人で離婚調停を申し立てたものの、妻の執拗な性格のため、調停は不成立目前となってしまった。
転機: 離婚訴訟への移行を覚悟していたが、弁護士が介入した。
結果: 弁護士介入の結果、調停により何とか離婚が成立した。
調停期間: 約10か月。
結論: 調停離婚成立。
8 モラハラ妻についての弁護士相談の有効性
以上のように、モラハラの問題は、夫婦間や男女間など、当事者間での解決が難しい、相談しにくい問題です。
そうした中、実績のある弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
⑴ 精神的負担の軽減
モラハラ案件では、弁護士が相手方との連絡窓口となることで、被害者の精神的負担を大きく軽減できます。
精神的なケアを含めたアドバイスがもらえます。
特に、相手の感情が高ぶって話し合いが困難な場合、弁護士が代理人となることで、直接のやり取りをやめることができます。
⑵ 複雑な問題への対応
当事務所は、DVやモラハラを含む多様な法的問題を扱う豊富な経験があります。
また、他の弁護士が躊躇するような「難しい離婚案件」もサポートが可能です。
⑶ 万全な交渉・手続き
弁護士は、離婚問題に関するすべての交渉に対応し、法的手続きを行うことができます。
⑷ 相談しやすい体制
当事務所には離婚問題を得意とする男性弁護士、女性弁護士の双方が所属しており、カフェのようなリラックスした空間でのご相談や、オンラインツールを利用したスムーズなやり取りが可能です。
弁護士が丁寧に事情を聞き、最適な提案を行います。
岡山や香川、その他の地域で離婚問題に悩んでいる方は、「弁護士法人 岡山香川架け橋法律事務所」にお気軽にご相談ください。
お電話またはオンラインで事前にご予約いただければ、全国どちらにお住まいの方でもご相談が可能です。
私たちは、ご依頼いただいた方の味方であり続けます。